あらすじ vol.2

2008年3月、柳生さん、いとうさん、「バラの貴公子」園芸家の大野耕生さん、造園家の佐藤進さん、花のコンサルタントの黒田高硯さん、育種家の矢澤秀成さん、6人のファンタジスタ(この花のロマンを追い求める人たちのこと)は「フリージアまつり」の開催されている八丈島にいました。フリージアの生産農家である山下忠宏さんに会うためです。山下さんは、日本で初めてファンタジーを輸入、栽培した人です。
山下さんの話によれば、ファンタジーは、背が高め、クリーム色、八重咲き。香りもよく、とても美しい花だったが、ウィルスによる病気に弱く、営利栽培ができなかったとか。世界中のファンタジーはウイルスに侵されてしまったのだろう・・・。と。

 

ところで育種家の矢澤さんは、当時のファンタジーの血を引く「現代のダブル・ファンタジー」を作ろうと決意しました。ウィルスに強く、香りのよい野生種のフリージアと八丈島でいただいてきたフリージアなどを交配させて、新しいダブル・ファンタジーを作る作業が進んでいます。

それとは別に、ファンタジーそのものを探す旅ももちろん続いています。


日本を代表する球根植物研究家の渡部哲次さんにとって、ファンタジーは8歳の時におこづかいをためて注文したほどの思い出の花です。その渡部さんが、4月にイギリスに向かいました。1960年にファンタジーを作出したゴーマンさんの農場を訪ねたのです。

しかし、実際行ってみると残念なことにその農場があった場所は一面の野菜畑。その農場はすべてのフリージアをオランダの会社に売却してしまっていました。
現在オランダでは複数の会社がフリージアの育種に取り組んでいるそうです。

 

つづく